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高圧コモンレール・ディーゼル・エンジンの内部噴射装置の沈殿物

概要ますます厳しくなるディーゼル排ガス要求を満たすために、OEMメーカーは最高2000bar(30,000psi)の圧力を発生するコモンレール燃料噴射装置を導入しています。さらに、燃料供給方式はますます複雑になり、サイクル当り複数回噴射が行われるようになっています。高圧を許容し、正確な燃料の計量を可能にするために、噴射装置内で要求される許容誤差は非常に厳しくなります。これらの変化に伴い、噴射装置は燃料の微粒子混入に非常に敏感になっています。

最近では、内部ディーゼル噴射装置の沈殿物によって生じる問題が広く報告されています。このペーパーは、これらの沈殿物の化学的性質と考えられる発生源の調査結果について説明しています。一連の技術を使用して、北米の現場およびOEMテスト・スタンドから回収された沈殿物が付着した多くの噴射装置により、内部沈殿物の解析が行われました。それぞれの場合に、内部沈殿物はアルケニル・コハク酸のナトリウム塩で構成されていることが判明しました。これらの塩は超低硫黄軽油(ULSD)燃料には溶解せず、燃料フィルタを通過する微細粒子として存続し、レールおよび噴射装置に流出します。ナトリウムは塩精製乾燥機、貯蔵タンクの水底、船の底荷として使用される海水など、多くの源泉から燃料に入り込む可能性があります。通常アルケニル・コハク酸は、ディーゼル燃料供給装置のパイプラインやその他の部品を保護するための腐食防止剤として使用されます。提案されたメカニズムに基づいて、現場およびOEMテスト・スタンドで観察される噴射装置に付着した沈殿物を再生するエンジン・テストが開発されました。このテストは、高圧ディーゼル噴射装置内部の間隙の少ない部分に付着する沈殿物を堆積する傾向を大幅に低減する代替腐食防止剤や化学洗浄剤を識別するために使用されました。

ナンバー2010-01-2242
発行日2010年10月25日
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