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EVAPシステム漏れテスト中の燃料タンクおよびチャコール・キャニスタの火災危険

概要 車載診断および燃料蒸発ガス発散防止(EVAP)システムの組み合わせにより、自動車EVAPシステムの漏れの検知と修理の必要性が増大しています。標準の漏れ検知方法には、オイル・エアゾールを含む空気と窒素からなる発煙剤によってシステムをパージし、漏れの視覚的兆候を調べる方法があります。煙をシステムに拡散するために使用するパージ・フローはタンクの蒸気空間からかなりの量の燃料蒸気を排出して、燃料システム内の酸素レベルを上げることもできます。発火源が存在する場合、車両システム内外の可燃性混合気の形成によって漏れ検知手順に関連した突発的火災が発生する可能性があります。現在入手可能火災統計(NFPAなど)は、整備工場の火災が特定のテスト手順に起因するものであると判定するほど詳しくはありません。ただし、突発的火災の事例報告に対する関心の高まりに応じて、EVAPシステムの漏れテスト中の可燃性混合気の形成の調査が行われてきました。このペーパーでは、燃料蒸気の動作とEVAPシステムの漏れテストによる火災に関する理解を深めることを目的として実験およびモデルによる一連の調査について説明します。

プロジェクトの最初の段階では、漏れテスト装置に特有の負荷流量によるタンクの蒸気空間内の燃料蒸気/空気混合気拡散の実験的計測と数値流体力学(CFD)によるモデル化が行われました。初期燃料蒸気濃度(つまり、初期パージで排出される蒸気の量)は、燃料の揮発性と温度に強く左右されます。また、10リットル/分近辺のパージ流量では、燃料システム内にかなりの量の可燃性混合気が生成される可能性があります。外部の突発的火災の原因となるパージされる蒸気量は高揮発性ガソリンが最も高く、燃料システム内に形成される可燃性混合気の量は低揮発性ガソリンが最も高くなる傾向があります。

プロジェクトの次の段階では、EVAPシステムによって負荷される通常の漏れテスト流量によってチャコール・キャニスタの動作が検査されました。キャニスタ動作の基本的なモデルは、標準テスト条件でのブタン動作能力とガソリン動作能力を計測することによって確立されました。追加の実験的テストで、負荷パージ流量によって組み込み済みチャコール・キャニスタから排出される燃料蒸気の濃度が検査されました。テスト結果により、テストの初期段階および長期にわたるテストでの可燃性蒸気の長期排出期間中の相当量の過濃ガソリン蒸気の放出が確認されました。燃焼テストでは、キャニスタから排出される混合気の可燃性と火炎特性が確認されました。

漏れテスト時に可燃性混合気を制限する推奨手順はこのペーパーで討議されています。

ナンバー2007-01-1235
発行日2007年4月16日
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